任意捜査であろうと、身柄拘束中であろうと、取調べを受けるときに被疑者がメモをとることは許されます。
禁止する根拠がないからです。
この当然のことが、実際の取調べでは認められていません。
令和6年(2024年)3月13日の衆議院法務委員会での質疑で、『メモをとる自由』が確認されました。
その答弁を文字起こししたブログ(Innocence Project Japan)がありましたので、そこから引用します。
米山議員:
じゃあその趣旨今食い違ってますよ。言っときますけど。全く食い違っています。まあ刑事局長はよくご存じだと思うんですけど、まずね、刑事訴訟法第一条は『この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、』ですよ。『事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。』ですので、調べるためなら何でもいいとは言ってないです。
しかも刑事局長をおっしゃられたように、あくまで任意です。あくまで任意のお願いしかできないので、いやですと。ひたすら私はメモしますと。それによってね、検事さんの何か心証が悪くなるとか、何かそういうことがあったって、それは仕方がありませんと。それは全責任私が負いますよと。でも法令上なにも禁止されていないんですから、それは私はもうひたすらメモしますよと言ったら、それは禁じられないということでいいですね。
小泉法務大臣:
はい、それはご本人の意思を通されるということであれば、強制的には止められません。
米山議員:
はい、そうだと思います。これ国会での質疑ですから非常に重要です。これはまあ要するに、私も弁護士ですので、弁護士会にご報告させていただきますので、今後ひたすらやっぱりメモを禁じられないです。そして一部の人にメモを許しているんだから、許している以上は他の人に恣意的に禁じるだなんて無茶でしょ。
はい、ということでメモは禁じられないということが確認できました。それは大変良かったと思います。
法務大臣のこの答弁を受けて、弁護人は、捜査機関に対し、「メモをとることを許すように。そのための筆記用具の持ち込みを許すように。」と申し入れたとします。
捜査機関としては、それでも、「取調べに集中できないから持ち込めない」などと被疑者本人に言うと思われます。
それを後に弁護人が追及しても、
「持ち込まないよう要請しただけだ。どうしても筆記用具を持ち込むと言われたら禁止はしなかったが、そこまでの強い要求はなかったので持ち込ませなかった。持ち込む機会は与えた。なんら違法ではない。」
と反論するでしょう。
黙秘する被疑者・被告人に対して「説得」と称する発問をすることが許される、結果として黙秘がされれば黙秘権侵害ではない、という従前の警察・検察の主張からは、このような主張が容易に想定できます。
メモは、持ち込めます。
メモは、できます。
今後、しっかりと申入れをして、しっかりと抗議をしていきたいと思います。